(7)詩と映像と音楽の融合--Fusion de poème, d'image et de musique
詩と映像と音楽の融合 Fusion de poème, d'image et de musique
慶應義塾のグローバルセキュリティ研究所の実験室でもあるこの会場は、200インチの大画面が正面と右手に2つ設置されていて、しかも上下2フロアー分の空間を使ったホールで、中二階からも視聴できる。前半の二つは、デカルコマニー幻想曲、ヴィクトル・ユゴーのデッサンで、映像に音楽をシンクロさせる試みを行い、三つ目にユゴーの詩「魔神」の朗読(パトリック・レボラール・南山大学)のさなかに、映像と音楽をミキシングした壮大な交響詩を披露した。特に、「魔神」では、シンセサイザーによる電子音楽を背景に、和太鼓が次第にエスカレーションして、雷の爆発音と、ユゴーの龍のデッサンがはじける。そしてヘンデルのサラバンドへ目くるめく会場を最高潮に導く。 静止画のデッサンが、CG効果により、動き出す(波や雨や怪物の目や羽等)様に、古典の作品が若い学生たちのコンピュータ操作で新たな作品として甦る瞬間であった。映像の中での訳詩は、辻昶・稲垣直樹訳をテロップで流させていただいた。後半は、パリ在住のピアニスト増永玲未とのコラボレーションで、ドビュッシーの前奏曲「音と香りは夕べの大気に漂う」では、ボードレールの詩をテロップで流し、メシアン「ダイシャクシギ」では、エマニュエル・ボダン(慶應義塾大学)の朗読のあと、ジャン=イヴ・クソーの映像とピアノのシンクロ、ドビュッシー「西風が見たもの」では映像をシンクロさせ、ラヴェル「オンディーヌ」ではベルトランの詩をボダンさんが朗読し、最後に、ワットーの「シテール等への船出」とクープランの「キテラ島の鐘」をシンクロさせ、ドビュッシーの「喜びの島」のピアノ演奏で終わるというもので、昨年の夏に行われたライブ「映画と音楽」とこの4月に日吉で行われた「春の音連れー表象として・フランス流花鳥風月」でのコラボレーションをDVDで紹介させていただいた。やはりライブ演奏の臨場感にはかなわないが、アンビアンスとしての詩と映像と音楽の融合と考えている。