2002年度秋季大会報告
ニュース112号(2002.12.5)より
幹事長 永見文雄
2002年度秋季大会は、10月26日(土)と27日(日)の両日、今年一番の木枯らしに見舞われた福岡の九州大学六本松キャンパスを会場に、全国から398名の会員が参加して開催された。
大会初日は、午前9時から新1号館で各委員会が、引き続いて10時40分から本館第1会議室で役員会が開かれたあと、13時30分より新1号館N110番教室において九州大学の田中陽子氏の司会により開会式が行われ、最初に大会実行委員長の高藤冬武氏が開会の辞を述べられた。九州大学では15年前に箱崎キャンパスで開かれて以来の大会となること、旧制福岡高校から九大教養部を経て現在の言語文化研究院へと六本松キャンパスが変遷したことなどを紹介する高藤氏の話に続いて、同院長の森茂太郎氏から主催校を代表してユーモア溢れる挨拶をいただいたが、フランス語受講学生の減少どころか九大では昨今増加をしているという心強いお話に一同感銘を受けた。これに対して、菅野昭正会長が昔日の仏文学会のエピソードを交えながら返礼の挨拶を述べた。
引き続き同教室で14時10分より、西南学院大学のThierry Trubert氏の司会により、パリ第3大学学長Bernard Bosredon教授の特別講演〈Titres de tableaux et discursivite〉があった。さらに同教室では15時30分から〈没後100年―ゾラの多面性を読み解く〉と題するシンポジウムが行われた。本会副会長で大阪大学の柏木隆雄氏が司会兼パネリストをつとめ、東京都立大学の小倉孝誠氏、東京大学の宮下史朗氏、神戸大学の吉田典子氏の3人のパネリストを加えたパネリスト同士の討論は無論のこと、パネリストと会場の会員との間の討論も白熱して、予定の2時間半を遥かに超過し、250名収容の会場には立ち見も出るなど、大会初日を締めくくるにふさわしい盛り上がりとなった。
大会2日目は、午前と午後にわたり、新1号館の各教室で12の分科会に別れて26の研究発表が行われた。
分科会終了後、同館N110番教室において、15時30分から、福岡大学のHelene De Groote氏の司会のもと、本大会ふたつ目の特別講演〈La place de la mythocritique dans la litterature comparee〉が、グルノーブル第3大学名誉学長で現フランス大使館文化参事官のAndre Siganos氏によって行われた。ふたつの特別講演とも、質疑応答を交えた興味深いものであったことは言うまでもない。
引き続いて同教室で16時40分から総会が開かれた。総会議長をつとめてくださった九州大学の末松壽氏の見事な手綱さばきで議事は滞りなく進行し、ほぼ1時間で総会はつつがなく終了した。総会終了後、開催校に対する菅野会長の感謝の言葉に続いて、九州大学の羽賀賢二氏が閉会の辞を述べられた。
恒例の懇親会は場所を移して19時15分から、今日の博多を象徴するまことに豪華な海辺のホテル、シーホークホテル&リゾートの1階宴会場アルゴスで、145名の参加者を得て盛大に開かれた。大会実行委員長の高遠冬武氏が自ら司会をつとめてくださり、ワイングラスと取り皿を片手で持つエピソードなどを交えながらの、お人柄のにじみ出る快いスピーチのあと、副会長の塩川徹也氏の開会の挨拶があった。大会初日の菅野会長の挨拶でも指摘されたことだが、塩川副会長も、無論大会実行委員会の責任ではないと断った上で、今回学会奨励賞への推薦がなかったことが、唯一残念なことと遺憾の意が表明された。そのあと、特別講演を行ったBosredon 氏とSiganos氏、日本フランス語教育学会の招きで来日中のCIEPの Marie-Laure Poletti氏の3人のフランス人のスピーチと続き、西南学院大学名誉教授の中村栄子氏の乾杯の音頭で歓談へと移った。2時間を越える懇親会は参加者めいめいにとって忘れがたい交流の一夕となったことは疑いない。
今大会は大会費や懇親会費などの事前振込み制を初めて導入するなど、大会運営の刷新に向けて一歩を踏み出した記念すべき大会であった。紛れもない成功の二文字で刻印された本大会を周到に準備された高藤冬武大会実行委員長をはじめとする九州大学大学院言語文化研究院のスタッフからなる実行委員会の皆様、大会をバックアップしてくださった九州大学、ならびに会場設営や受付などの面倒な仕事を立派に果たされた同大学の学生諸君に、幹事会を代表して心から御礼申し上げたい。また本会事務局の2人の書記、丸山理絵氏と漆原みゆき氏には、いつもながらのことではあるが、抜かりない仕事ぶりで事務局側の準備を綿密に進めていただいた。おふたりにも記して感謝する次第である。