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[広報委員会]

9/18(金)「文学を外から見る――数学・AI・クノー」開催のお知らせ

イベント

(公財)日仏会館では、下記のイベントを開催いたします。皆さまのご参加をお待ちしております。



「文学を外から見る――数学・AI・クノー」

【講師】円城塔(作家)、中村雄祐(東京大学)、塩塚秀一郎(東京大学)
【司会】塚本昌則((公財)日仏会館、東京大学名誉教授)

日時: 2026年9月18日(金) 18:00 - 20:00
場所:日仏会館ホール(恵比寿)
参加費:一般1,000円、日仏会館会員/学生 無料(要参加登録)

▼詳細・お申し込みはこちら
https://fmfj-20260918.peatix.com/ 


文学作品は、文芸愛好家に享受され、研究者に分析され、批評家に価値づけられていきます。しかし、そうした「あまりに文学的な」営みの外側から、「文学」と呼ばれる文字列を眺めたとき、いったいどのような景色が広がっているのでしょうか。

『これはペンです』(2011)、『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』(2024)など、数学・物理学・人工知能の発想を取り入れた革新的作品を発表し続ける作家円城塔氏、文書をはじめとする認知的道具の汎用技術化をアクション・リサーチを通じて研究する中村雄祐氏、そして「文学内部の文学ならざるもの」に惹かれるフランス文学者塩塚秀一郎氏。本イベントでは、この三氏が共通する関心を蝶番として「文学を外から見る」ことを試みます。

円城氏は、大学院で物理学の博士号を取得後、ポスドクとして研究生活を送ったという異色の経歴の持ち主です。その作品に現れる数学や人工知能のモチーフは、単なる意匠ではなく、文学そのものの構造や発想を内側から変形する異物として機能しているように見えます。フランスの実験文学集団ウリポへの造詣も深く、ジャック・ルーボー『誘拐されたオルタンス』(創元推理文庫、2017)には、「クノー・ダニエル置換」をめぐる鋭い解説を寄せておられます。

文学部に所属しながら雑多な文化資源を研究する中村氏の場合、その研究は通常「文系」に分類されるものですが、大学入学時には理系コースを選択されています。そのため、数学やAIに対しても、「敬して遠ざける」のではなく、必要に応じてフランクに付き合う姿勢を保っています。また、「あまりに文学的な」文学研究者からは軽視されがちなクノー『文体練習』(1947)の熱烈な愛読者でもあります。

フランス文学者塩塚氏もまた、もともとは数学を志して理系として大学に入学し、その後、文学研究へ転じました。クノーやペレックをはじめとするウリポ作家を研究対象とする一方、翻訳者・教育者として、AIが人文学や人類文明にもたらしつつある変化を固唾を呑んで見守っているとのことです。

このように、三氏の活動や関心には「数学・AI・クノー」という接点があります。本イベントでは、それらを出発点、あるいは口実として、それぞれの立場から「あまりに文学的な」文学を相対化し、文学を少し外側から眺め直すことを目指します。


【講師プロフィール】
●円城塔
ものかき。文字で書けるものであればなんでも。ワードプロセッサやコードを利用します。『道化師の蝶』で第146回芥川龍之介賞、『文字渦』で第39回日本SF大賞、『コード・ブッダ』で第76回読売文学賞など。ラフカディ・ハーン『怪談』翻訳、上田秋成『雨月物語』現代語訳など。近刊に『土人形と動く死体』。


●中村雄祐
1990年代の西アフリカにおける口頭伝承の研究以来、中南米における社会開発・職業訓練、東京における祭・まちおこし・家庭料理などに関わってきましたが、多様な現場に鍛えられると同時に、デジタル技術の加速度的な普及ぶりを身をもって経験する30年でした。この動きと「文学と呼ばれる文字列」がどのように交錯し、何が生まれるのか?期待と不安が入り混じる日々ですが、クノーはこのような展開をすでに予見していたような気がしています。

●塩塚秀一郎
逸脱学説の集成『不正確科学百科事典』(クノー編纂)、Eの文字抜きの長編小説『煙滅』(ペレック著)、平凡な集合住宅の来歴に関するルポルタージュ『パリ十区サン=モール通り二〇九番地』(ジルベルマン著)……。あらためて振り返ってみると、私がこれまでに取り組んできた書物は、どれもこれも「文学っぽくない」気がします。でも、「文学」以外のどこで、こんな営みが許されるのか、とも思うのです。