2004年度春季総会報告
ニュース117号(2004.7.10)より
幹事長 佐野泰雄 |
議長 川瀬武夫 書記 白井恵一、杉本圭子 |
支部報告および委員会報告は別掲。一般会務報告と協議事項を以下に記す。 報告事項 1.会員数と会費納入状況 5月25日現在、個人会員数1741人(普通1637、学生101、名誉3)、賛助会員数31。学会誌購読団体数は25。 2.幹事会の活動 2003年秋季大会以降、幹事会は2004年5月16日(日)ならびに5月29日(土)に2度にわたって開催された。また、2004年1月25日(日)に臨時役員会が招集された。これは、いわゆる都立大問題に関して、学会より要望書を提出することの承認を、役員会レベルで得るためのものであった。総会の議を経ないで要望書を発したことに関する説明は既に学会ニュースで会員に報知済みであるが、2004年度春季大会総会で再度説明をし、了承をいただく所存である。(協議事項参照) 1)運営規則一部改正について 昨年度の第4回幹事会(2003年5月10日)で決定されたとおり、故望月芳郎氏のご遺族からの寄付金1,689,000円を学会奨励賞基金に組み込むため、運営規則の一部を改正した。この結果、寄付金合計額は8,341,074円となり、本会会計からの寄与分4,600,000円を合わせ、基金は合計12,941,074円となる。この運営規則改正は、2004年5月16日の幹事会で決定された。 2)スタージュ問題について 文部科学省が事業助成から撤退したために発生したスタージュ問題に対処するため、2003年秋季大会総会にて、特別委員会の設置を了承していただいた。この委員会では、スタージュ問題審議会の名のもとに、8名の委員(地方支部所属の2名を含む)が4度にわたる協議を行い、2004年1月5日、対策を菅野会長宛てに答申、菅野会長もこれを了承された。答申文書については総会で資料として配布するとともに、学会ニュースに掲載する予定である。さて、その答申の内容であるが、要点としては、従来型のスタージュの廃止、本会固有の新しいフランス語教育研修会、あるいは別の新規事業の企画検討が提案されている。幹事会でこの答申について協議した結果、新しいフランス語教育研修会の企画検討は、従来のスタージュの総括をも含んだ形で、語学教育委員会が担当する、新規事業については、幹事会がまず、本会会計の財政状況の推移を見守りつつ、慎重に予算配分の可能性を検討することから始める、という結論を得た。 また、答申文の末尾にもあるように、文部科学省に対して遺憾の意を表明し、助成復活を要請するため、2004年2月5日午後、菅野会長および幹事長が同省に赴き、担当部所を統括する大臣官房国際課課長と面談、文部科学大臣宛ての要望書を提出した。 3)本会財務情報の公開について 毎年、春季大会総会にて、当該年の決算報告および次年度予算案提示を行っている。その際、当該時点における貸借対照表、財産目録、剰余金の振り分け、当該年度収支決算書、次年度予算案が記載された資料を配布し、後日、会員のもとに送付される学会ニュースには収支決算書、予算案のみを掲載するという報知方式をとっていた。しかし、より詳細な情報公開を行うべきであるとの見地から、幹事会では、学会ニュースにも、総会資料と同様の情報を盛り込むともに、総会資料をそのまま、本会のホームページに掲載することを決定した。 4)2005年度科研費補助金の審査委員候補者推薦について 日本学術会議第1部語学・文学研究連絡委員会委員長井上和子氏より、「平成17年度科研費補助金の審査委員に関する情報提供のお願い」と題された文書により、標記審査委員候補者推薦の依頼を受けた。細目「ヨーロッパ語系文学」に関しては、日本イスパニア学会、イタリア学会と調整の上、第1段委員候補として、久保田勝一氏(中央大学)、坂本千代氏(神戸大学)、山田広昭氏(東京大学)、吉村和明氏(上智大学)を、第2段委員候補としては、中地義和氏(東京大学)を取りまとめ学会である英文学会経由で推薦した。また、細目「言語学」枠では、第1段委員候補として泉邦寿氏(上智大学)を日本言語学会経由で推薦した。 5)学会誌編集方針の変更について 学会誌の編集方針に関しては、いわゆる和仏混合誌への移行が承認され、その最初の号の発行が既に日程にのぼっている。ところが、吉田裕学会誌編集委員会委員長から、委員会内では、これとは別に、編集方針の変更を以前より企画していたが、その変更案がほぼ固まったので、これを本会のしかるべき会議体の検討に付し、さらに整備したい、との申し出があった。そこで、塩川副会長、学会誌編集委員会正副委員長、常任幹事の一部などを委員とする連絡協議会を臨時に編成し、2003年12月13日午後、および2004年4月25日午後の2回にわたり変更案について審議した。その変更案の骨子は、大会時に行った口頭発表に基づく内容のものという条件付きで投稿論文を受け付け、そのなかから査読によって学会誌掲載論文を選考する、というものである。 上記連絡協議会の審議において、編集委員会から出された当該の変更案は、精密な制度設計がなされており、改善案としては、幹事会、役員会、総会の協議に十分耐えられる成熟度を持っていることが認められ、これにもとづき、当該変更案が5月16日の幹事会に紹介、提案された。幹事会では、おおむね好意的に迎えられたようである。ただし、口頭発表聴取制から査読制への移行という、本会機関誌編集方針の抜本的な変更は、学会誌の発行が本会の最重要事業であってみれば、慎重の上にも慎重を重ねて検討されるべきものであろう。そこで、編集委員会の提案にもあったように、2004年春季大会の幹事会、役員会での協議、さらには2004年度秋季大会の幹事会、役員会、総会での協議を踏まえた調整を経て、2005年春季大会の幹事会、役員会、総会で正式決定というプロセスによって万全を期したいと思う。その間に、総会、もしくは各支部を通して本会内に広く変更案を周知させ、できるだけ多くの会員の声を反映させることを忘れてはならないだろう。 6)本会事務局書記2名の雇用環境整備について 2名の事務局書記の雇用については、労働契約書の不在、労災保険未加入など、その整備が行き届いていないのが現状である。常任幹事会、幹事会では、事業主としての本会と事務局書記間の雇用関係の整備に向けて、鋭意努力中であったが、2004年5月16日の幹事会後に、現行の所定労働時間内時給と所定時間外時給の大幅な格差には、労働基準法違反の可能性がある旨、当事者である書記から指摘を受けた。所定労働時間内時給に較べて時間外時給が低い現況を労働基準局に報告して相談したところ、2種類の時給の格差には違法性があり、ただちに是正されるべきであること、さもなければ労基局の指導的介入があること、また、書記には過去2年間に遡って、給与「未払い」分に対する請求権があることがわかったというのである。常任幹事会でも、この件につき弁護士に相談したところ、理論的に違法性が存在するか否かは別にして、判例等に照らして判断すると、ここは書記、および労基局の主張を容れる方向で対処するのが穏当である、との回答を得た。ことの性格上、急を要する案件であるので、常任幹事会としては、この回答に従って問題処理を図るべく、5月29日の幹事会、役員会に提案し了承を得た。 7)諸税納付義務に関する件 本会は、親睦のための任意団体であり、権利能力なき社団、人格なき社団であるが、そうであっても、法人税の納付義務、ならびに給与の源泉徴収義務はある。この点に関しては微妙な問題を含むので、事務局書記が税理士に相談し、本会として最良の方途を探る旨、幹事会、役員会に提案、了承された。 協議事項 1.いわゆる都立大問題に関する要望書送達の件 2004年1月25日(日)に臨時役員会を開催し、いわゆる都立大問題に関する要望書を、東京都知事、文部科学大臣に送達した件については、学会ニュース第116号、学会ホームページなどでも報知済みである。本来ならば、総会の了承を得なければならなかった案件であるが、それができなかったので、あらためて総会の場で、事後了承をお願いしたところ、承認された。 2.人事の件 2004年度人事が提案され、承認された。 総会開催に先だって、同日12時30分より開催された予備常任幹事会において、互選により小倉孝誠氏が2004年度幹事長候補に選出されたことが報告された。すべての人事案件が承認されたあと、小倉氏より新幹事長受諾の挨拶があった。 3.2005年度春季大会開催校の件 岑村傑大会担当常任幹事より、立教大学において、同大学の細川哲士氏を大会実行委員長として、2005年5月28日(土)、29日(日)に春季大会を開催することが提案され、承認された。引き続き、細川氏より受諾の挨拶があった。 4.2003年度決算の件 山田広昭会計担当幹事より、2003年度本会会計の収支決算報告があり、藤野昭雄氏の監査報告を経て、承認された。 5.2004年度予算の件 山田会計担当幹事より、2004年度本会会計の予算案が提示され、原案通り承認された。 6.2003年度スタージュ決算の件 山田会計担当幹事より、2003年度スタージュ会計の収支決算報告があり、月村辰雄氏の監査報告を経て、承認された。 |