2000年度春季大会報告
ニュース106号(2000.7.5)より
総務 西澤文昭
2000年度春季大会は、明治学院大学白金校舎において、5月20日(土)、21日(日)の2日間にわたって開催された。
大会に先立ち、19日(金)午後、日仏会館会議室にて各種委員会が、20日(土)午前10時から本館10階大会議室にて合同役員会が開かれた。合同役員会の冒頭、明治学院大学の天沢退二郎氏から歓迎の挨拶があり、これを受けて阿部会長の返礼の挨拶があった。
大会初日は13時から3号館1階の3201号教室において、明治学院大学朝比奈弘治氏の司会による開会式をもって始まった。まずフランス文学科の天沢退二郎氏、学長脇田良一氏の歓迎挨拶では、新制大学として50周年を経たばかりであること、学科創立35年を迎えたこと、今年度から大学院が創設されたことなどで今年2000年が節目になる年にあたることが述べられた。またヘボン館に名を残すヘボン博士と明治学院との関わりについて紹介があった。続いて阿部良雄会長の開会挨拶があり、開会式を終えた。
13時40分から予定されていた特別講演は講師 R. CHAUDENSSON氏に突然のご不幸があり中止となった。幸い同じ時間帯には当初より Veronique DANIEL さんによるバルザックの『ウジェニー・グランデ』を脚色した一人芝居が予定されていたので、参加者の中には思いがけない観劇の機会を得た方も少なからずいたと思われる。
15時からは3201教室にてシンポジウム《1900年──政治・文化・表象》が清水徹氏の司会によって催された。パネリストには天野知香(お茶の水女子大学)、菅野賢治(東京都立大学)、松浦寿輝(東京大学)、吉田典子(神戸大学)の諸氏が招かれ、それぞれの専門の観点から1900年という年を浮き彫りにする試みがなされた。スライドの使用によって視覚にも訴えた発表はきわめて説得的で聴衆を惹きつけた。19世紀全体を振り返る視点だけでなく、2000年にあるわれわれと20世紀という現象に対するスタンスの取り方についても示唆を与えてくれたという点で、この企画は満員の会場から共感をもって迎えられた。
午後6時からはフランス大使公邸にて大使館主催のレセプションが開催された。
大会2日目は本館において、10時から14時30分まで、13の分科会に分かれて合わせて31の研究発表が行われた。分科会終了後、会場を3号館に移して慶應義塾大学川口順二氏の司会によるトゥルーズ大学教授 Andree BORILLO 氏の特別講演が行われた。引き続き大崎明子氏の司会で佐合桜子氏によるフランス・スタージュ報告会が持たれた。続いて2000年度学会奨励賞の発表及び授与が行われた(別掲)。16時15分から早稲田大学塚原史氏の議長の下、総会が開かれた(詳細は「総会」の項参照)。 総会は所定の議事を終え、最後に須藤哲生氏の閉会の辞をもって本大会を無事終了した。
大会終了後、すぐ近くの都ホテル東京に場所を移し、工藤進氏の司会で懇親会が開かれた。学会名誉会員田島宏氏の開会の挨拶に始まり、近いうちに離任することになったフランス大使館文化参事官の Christian MORIEUX 氏の熱い思いのこもった挨拶、また巌谷国士氏の大学院創設にまつわるユーモアある挨拶の後、学会を代表して菅野昭正氏が乾杯の音頭を取った。大勢の参加者を得て歓談の輪があちこちに所狭しとできるほどに、大変賑やかな懇親会であった。なお本大会の総参加者数は710、懇親会出席者は171であった。
この報告でお名前を挙げられなかった方々を含め、本大会の運営にあたられた明治学院大学の実行委員会に心から敬意と感謝の念を表したい。また、最後になったが、学会事務局の丸山理絵さん、今大会限りで退職なさる大谷克子さん、新たに事務局に加わった漆原みゆきさんに心から感謝申し上げる。