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2006/05/20

(2)箱庭の中のフランス文学

| by 広報委員会
2006年度春季大会 ワークショップ(2)

箱庭の中のフランス文学

    Co. 鷲見洋一(慶應義塾大学)

 「港区小中校生フランス文学読書感想文コンクール」受賞者の表彰式と朗読の後、箱庭ゲームが開催された。子供から大人までの広い年齢層を対象したかったので、参加者を学会関係者に限定せず、この部屋だけは大会費免除の一般公開とした。コーディネーターの他に、慶應義塾大学の巨大科研費プロジェクトDMCで創造的な仕事をしている坂倉恭介氏、篠田大基氏、平松啓央氏、慶應義塾大学仏文修士の大島ゆい君と岡田彩香君という、5名の若い協力者が大活躍で、何度も打ち合わせやシミュレーションを重ね、本番に臨んだ。選ばれた素材は、シャルル・ペロー「長靴をはいた猫」。心理療法でおなじみの箱庭と、さまざまなミニチュアの人形や小道具を自由に使って、物語の進行に従い、参加者がリレー式で、箱庭に敷き詰めた砂の上にデザインを施していく趣向である。全員が箱庭の中の様子を見逃さないように、デジタル・ヴィデオカメラですべてが巨大モニターに映し出され、部屋のどこにいても見落としがないように配慮された。

 立ち見も出るほどの盛況で、狙い通り参加者の年齢の幅は広く、小学生4名(慶應義塾幼稚舎の3年生男子2名に5年生女子2名)、中学生女子2名(読書感想文コンクール受賞者)とそれぞれの同伴者、慶應義塾大学の学生数名に仏文学会員多数、さらに一般参加者という多様な構成だった。

 数名ずつの参加者を募り、指示を記した紙を手渡して、次々にリレー式で物語を紡いで貰ったが、途中から全員が順番に当たり始めた。初めこそはノリが悪かったが、基本的には、皆が見ているだけでは不足で、輪に入って遊びたいという欲求を抱いている事実が確認された。全36景から成る物語のシークエンスを、全員がくまなく担当するのは無理だったが、ほぼ1時間でゲームは完了。残った30分は、原作の巻末に書き付けられた二つの「教訓」の解釈をめぐって、即席の質疑があり、まさにこの作品を修論のテーマにしている岡田彩香君を中心に、居合わせた学会員の先生方との間に有益な情報の交換があった。これ一回限りで終わりにするには惜しい企画だと思う。

 箱庭に群がる子猫たち。
  ネコの2つの教訓



教訓:
父から子へうけつがれる遺産を当てにするのも良いけれど、若い人たちにとっては知恵があったち世渡り上手であることの方が、ずっと良いのです。

もう一つの教訓:
貧しい若者が、とんとん拍子でお姫様に好かれて結婚できたのも、服や顔や若さのおかげだから。なかなかどうして、馬鹿にはできないものです。




ゴム長をはいた猫。

16:17