答申文書
1)スタージュ問題審議会の答申
会長 菅野昭正 殿
今般諮問を受けました、文科省の国内スタージュへの予算措置打ち切りに伴う諸問題について、学会として取るべき対応を当審議会にて協議し結論を得ましたので、以下の通り答申します。
1963年に始まった国内スタージュは、今日に至るまで40年間会員の協力により多大な成果をあげてきたが、今回その運営経費の約4割を担う文部科学省が離脱した以上、本会とフランス大使館および他機関の協力をもってしても同様の規模のスタージュ運営は困難と思われる。またここ数年のスタージュ参加者数の減少傾向も、従来どおりの継続は難しいとの判断を裏付けるものとなろう。審議会は、こうした状況の変化を踏まえた上で、むしろこれをかえって好機として別趣のフランス語教育研修会を含む新しい事業を模索することが望ましいという結論に達した。
したがって、来年度以降、従来型の国内スタージュはこれを廃し、フランス語フランス文学会固有の新しいスフランス語教育研修会、あるいは別の新規事業が、幹事会の主導のもとに本会内のしかるべき部会で企画検討されるよう提案する。
また、文部科学省の離脱により、渡仏スタージュの企画運営は、その継続廃止をも含めてフランス政府の専権事項となろうが、もし何らかの形で継続されるのであれば、今後も会員の利益のために、この事業に対する協力と努力を惜しんではならない。
従来のスタージュは、相当の時間と労力と費用を費やしてきて、それなりの効果をもった。新しいフランス語教育研修会あるいは新規事業に関しても、相応の費用と努力が払われれば、また新たな展開がもたらされることを確信する。
なお、ことの経緯に鑑み、学会会長から文部科学省になんらかの形で、遺憾の意を表することが適当と考える。
本審議会は、本会会員の努力と協力を願ってこの答申を終える。
2004年1月5日
日本フランス語フランス文学会スタージュ問題審議会
座長 柏木隆雄
委員 川瀬武夫
同 小林 茂
同 澤田 肇
同 塩谷 敬
同 竹内信夫
同 田中陽子
同 永見文雄
2)会長より審議会への回答
スタージュ問題審議会委員各位
先般、柏木隆雄座長を通して、1月5日付の「答申」を拝受しました。4回にわたって審議を重ねられた由、遅ればせながら感謝いたします。
「答申」の趣旨はよく理解しました。佐野幹事長と協議する機会もありましたが、今後の対策については、まず、幹事会に委任することにしたいと考えています。その旨、了承をお願いした上で、個人的な意見を要点のみ記させて頂くことにしました。
(1)「従来型の国内スタージュ」を取りやめるのは、諸般の事情からしてやむを得ない。
(2)本会にふさわしい新しい形態の研修(「新規事業」)を行う必要性および可能性を検討する。そのための具体的な手順、方法については幹事会に委任する。
(3)フランス側の対応法はいまのところ予測の限りではないが、「事業を継続する」意向が示された場合には、「協力」を惜しまない。
今回の打切りの措置にたいして「遺憾の意を表する」件については、2月5日午後、佐野幹事長と同行、文部科学省に出向きました。担当部署の大臣官房国際課課長と面談、柏木副会長と合作した文部科学大臣宛て文書を手渡すとともに、学会の総意として「遺憾の意」を口頭でも伝えました。念のため、復活の可能性も打診しましたが、現在のところ、対応はかたくなと言うしかないまま終わりました。以上、簡単ながら経緯をお知らせいたします。
各位のご苦労に重ねて感謝するとともに、学事繁忙のおりから、ご自愛をお祈りします。
菅野 昭正