2002年度春季大会報告
ニュース111号(2002.7.10)より
総務 川瀬武夫
2002年度春季大会は、6月1日(土)と2日(日)の両日、早くも夏の到来を思わせる素晴らしい青空の下、移転後まもない東京外国語大学の緑豊かな新キャンパスを会場に、全国から622名の会員が参加して開催された。
大会に先立って、5月31日(金)午後、恵比寿の日仏会館の会議室で各委員会が開かれ、また同日18時30分よりフランス大使館大使公邸においてレセプションがあった。奇しくもFIFAワールドカップの開幕戦、フランス対セネガルの試合が行なわれた晩のことである。
大会初日は、午前中に総合文化研究所会議室で役員会が開かれた後、13時からマルチメディアホールにおいて、東京外国語大学水林章氏の司会により開会式が行なわれ、大会実行委員長西永良成氏の開会の辞につづいて、池端雪浦東京外国語大学学長の気迫あふれる歓迎の挨拶をいただいた。これに対して、菅野昭正会長が返礼の挨拶を述べた。
ひきつづき同ホールで13時40分より、京都市立芸術大学柏木加代子氏の司会により、Sarre大学Jeanne Bem教授の特別講演 ≪L’ecrivain europeen et ses langues: Victor Hugo, Stendhal, Nerval, Flaubert≫ があった。19世紀フランスの文学者たちと諸外国語との係わりを考察したこの講演は、開催校にまことにふさわしく、きわめて啓発的で刺激に富んだものとなった。
さらに同ホールでは15時より2時間半にわたり、「グローバル化時代におけるフランス文学」と題する最初のシンポジムが催された。これは副題にもあったように、昨年12月に青山学院大学で開催された国際シンポジウム「東アジアとフランス」の成果を踏まえて企画されたもので、東京外国語大学西谷修氏の司会のもとに、早稲田大学立花英裕氏、白百合女子大学星埜守之氏、同大学澤田直之氏の3人のパネリストが白熱した討論を展開した。会場からの発言も活発であった。
大会2日目は、午前と午後にわたり、研究講義棟の各教室で11の分科会に分かれて25の研究発表が行なわれた。
分科会終了後、同棟226教室において、14時10分より2時間にわたり、ふたつめのシンポジウム「言語の/とジェンダー:フランス語と日本語の場合」が開催された。司会者として上智大学泉邦寿氏、パネリストとして名古屋大学藤村逸子氏、神田外語大学藤田知子氏、文教大学遠藤織枝氏が参加したこのシンポジウムでは、言葉と「性」にまつわる興味深い話題が次々と紹介され、多数の聴衆の耳を釘付けにした。
総会は16時20分から再びマルチメディアホールにおいて行なわれたが、議事に入る前に、2002年度学会奨励賞の発表と授賞式があった。受賞者は成城大学永井典克氏、受賞対象論文は「『フェードル』における毒の役割」(『仏語仏文学研究』第22号、2000年10月、東京大学仏語仏文学研究会発行)。
総会議長をつとめて下さった東京都立大学吉川一義氏の周到な司会のおかげで、会則・運営規則の改正を含むすべての議事が予定どおり終了した後、柏木隆雄副会長の提案により、今回の長期にわたる改正作業を裏方として支えてきた歴代の幹事長に対して盛大な拍手が送られた。
総会終了後、開催校に対する菅野会長の感謝の言葉につづき、東京外国語大学富盛伸夫氏が閉会の辞を述べられた。
恒例の懇親会はキャンパス内の学生会館カフェテリアにて18時30分より開かれた。東京外国語大学Francois Roussel氏の司会により、まず西永良成大会実行委員長の挨拶、次いで柏木副会長のスピーチ、そして田島宏名誉会員の音頭で乾杯となった。会の半ばには、フランス大使館文化担当官Jean-Noel Juttet氏と前日特別講演をされたJeanne Bem教授のスピーチもあり、136名の参加者にとって忘れがたい歓談の一夕となった。2時間におよぶこの心楽しい懇親会は、長らく東京外国語大学教授をつとめられた岩崎力氏の挨拶によりおひらきとなった。
とりわけ意義の大きかった本大会をこのような成功に導いて下さった西永良成大会実行委員長をはじめとする東京外国語大学のスタッフの皆様、大会をバックアップして下さった東京外国語大学、ならびに受付や会場設営の気を遣う仕事を立派に果たされた同大学の学生諸君に心よりの御礼を申し上げたい。また、本会事務局の2人の書記、丸山理絵氏と漆原みゆき氏にはいつもながらの完璧な仕事ぶりで事務局側の綿密な準備をしていただいた。あえて記して、感謝の念を表する次第である。