2001年度秋季大会報告
ニュース110号(2001.12.10)より
幹事長 川瀬武夫
2001年度秋季大会は、11月4日(日)、名古屋外国語大学において開催された。各種委員会、合同役員会、学会奨励賞選考委員会の開かれた前日の冷たい雨模様とはうってかわって、あくまでも青く澄みわたった秋の晴天の恵みのもと、全国から363名の会員がその美しく瀟洒なキャンパスに集った。
午前10時から名古屋外国語大学滝沢隆幸氏の司会によって行なわれた開会式には、例年に見られない多数の会員が参加した。愛知学院大学尾崎孝之氏の開会の辞につづいて、名古屋外国語大学学長平井俊彦氏から歓迎の挨拶をいただいたが、たんなる形式的な式辞の枠を越えて、御自身とフランス文学との接点を熱く語られたそのお話には一同大きな感銘を受けたものであった。これを受けて菅野昭正会長が返礼の挨拶を行なった。
ひきつづき午前10時30分より、午前と午後の部に分かれて、12の分科会で都合27の研究発表が行なわれ、前年の弘前大学においてと同様、秋季大会としては異例といっていいほどの盛会となった。
午後2時10分からは、5号館1階511教室にて、特別講演がふたつ。
はじめに、名古屋外国語大学大岩昌子氏の司会で「言語と脳――先端的研究の現場から」と題する講演が東京学芸大学関口貴裕氏によって行なわれた。アメリカでの同時多発テロ事件の影響で当初予定されていた講演者の小山紗智子氏が帰国できなくなったために、共同研究者として急遽ピンチヒッターに立って下さったとのことだが、若々しい明快な語り口で脳の言語機能にかんする最新の知見を平易に解説していただいたことに深く感謝したい。
次に、早稲田大学支倉崇晴氏の司会により、リヨン第2大学Laurent Thirouin氏が≪Le moi haissable, une formule equivoque≫と題する講演を行なった。非専門家の耳にはいささか難解なところもあったものの、パスカル『パンセ』の有名な一節をめぐる鋭利な分析の冴えに感嘆された方もさぞかし多かったことであろう。
特別講演がいくぶん長びいたために、総会は予定より30分程遅れて同じ会場で午後4時30分から開かれたが、議長をつとめて下さった愛知大学高橋秀雄氏の卓越した手綱さばきのおかげで、終了予定時刻の午後5時30分をほとんど越えることなく、用意された議事のすべてをつつがなく終えることができた。
総会終了後、菅野昭正会長から開催校に対する感謝の言葉が述べられ、最後に名古屋外国語大学滝沢隆幸氏の見事なフランス語による閉会の辞が本大会を締めくくった。
恒例の懇親会は、名古屋の中心地にある名古屋国際ホテルに場所を移して、午後6時30分より開催され、これにも事前の予測を上まわる120名もの参加者が集まって、心楽しい歓談の一夕を過ごすこととなった。名古屋外国語大学立花規矩子氏の司会により、まず名古屋外国語大学直原利夫氏の挨拶、次いで塩川徹也副会長のスピーチ、田島宏名誉会員の乾杯の辞とつづき、また会の半ばにはフランス大使館語学担当官Jean-Noel Juttet氏、特別講演者Laurent Thirouin氏、東京学芸大学関口貴裕氏、さらに本大会総会で来年度秋季大会の開催校に決まった九州大学の高藤冬武氏のスピーチがあった。
きわめて意義の大きかった今季大会をこのような成功に導いて下さった名古屋外国語大学のスタッフの皆様、大会をバックアップして下さった名古屋外国語大学、ならびに受付や会場設営等で立派な仕事を果たされた同大学の学生諸君に心よりの御礼を申し上げたい。また、本会事務局の書記である丸山理絵氏と漆原みゆき氏には、いつもながらの献身的な協力をしていただいた。あえて記して感謝の意を表する。