大会の記録詳細

大会の記録詳細
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2006/05/21

2006年度春季大会写真集

| by 広報委員会

これがあの図書館です。重要文化財。

会場の西校舎。


レトロポップな研究室棟。


エレベータの鏡に校章。


灯篭にも慶應マークが。


おや、マンホールにも。


銘菓「学問のすゝめ」。あんこと最中と竹べらのセットのようです。本型ケースに入っています。

懇親会会場より図書館をのぞむ。
ひどい夕立でしたが、懇親会がはじまるころには
青空がのぞいて。遠くに霞む六本木ヒルズ。

懇親会会場は東館8階。
教員でもめったに入れない特別ルームだそうです。

東門より東京タワーまで徒歩20分。
一見、近そうなのに。


なまこ壁の演説館。これも重文。

西門からの急な坂道。
「長崎みたいでちょっといいでしょ」(K氏談)

15:38
2006/05/21

2006年度春季総会報告

| by 広報委員会
ニュース123号(2006.7)より

総務 有田英也

議長:佐野泰雄  書記:彦江智弘、野村正人
◇報告事項

1.会員数
2006年5月 15日現在、会員数は個人1603(普通1469、学生130、名誉4)、賛助28。購読団体は37。

2. 幹事会の活動

1)日仏会館より、学会事務局の賃料及び会議室の使用料の値上げの通達がある。値上げは段階的に行われ、2年以内に一定の水準に引き上げるとのこと。

2)日仏会館副理事長の小林善彦氏の呼びかけで、「フランス語の将来を考える会議」が2006年2月6日に日仏会館にて開催。本会の塩川徹也会長の他、フランス語教育学会、フランス語教育振興協会(APEF)、フランス大使館の代表がそれぞれ参加。

3)学会誌刊行補助のための科研費の支給が決まる(120万円)。なお、奥村印刷にて2号分の見積もり計算を依頼したところ、前年度より約20万円縮減された見積もりが提示された。

4)2006年3月23日~26日までフランス語教育国内スタージュが、ブザンソンCLAのYves Canier氏を特別講師として招聘し、開催された。参加者は14名。以下の団体よりスタージュ開催のための寄付金が寄せられた。APEF(3万円)、日仏文化協会(7万円)、Hachette Japon(1万円)、伸興通商(1万円)。また、このため当初のスタージュ関連予算に対して58,172円の剰余金が発生した(p.10参照)。国内スタージュ参加者のうち、今夏にフランスに派遣される者が5月17日に決定した。

5)学会HPの「お知らせ」欄に、幹事長の判断で多くの情報を掲載した。

6)国立情報学研究所(NII)より、すでに提供している学会誌掲載論文情報に関して、本文の抄録掲載の依頼がある。しかしすでに全文が閲覧可能な形で情報を提供しているため、NII側の意向を確認しつつ対応を検討したい。

7)日外アソシエーツは、web上で展開している有料のデータベース「e?レフェレンス」に関して、これまでは試用期間として本会が提供した書誌情報を実質上無断で流用していたが、今後はロイヤリティを支払うことを決定したとの通達がある。永井資料調査委員長らとともに日外アソシエーツ問題の対応を検討。

8)吉川一義副会長に、京都大学への異動後も副会長残存任期にかぎって関東支部にとどまって職務を全うしていただくよう、第4回幹事会の決定を経て要請、快諾を得た。

9)塩川会長より、日本学術会議の言語・文学委員会において、本会会員の田口紀子氏が代表に、また塩川氏が連携委員に選任されたとの報告がある。また、日本学術会議との連携を図るため、日本学術会議協力学術研究団体に申し込みの手続きを行った。
 なお質疑として、日外問題に関して、文献要覧2003/04年度版に対する何らかのチェックが必要ではないかとの意見が小林茂氏より提出された。これについては、2003/04年度版に監修として参加して欲しいという日外からの要請は拒否したものの、完成品に対するチェックは行うことが確認された。

◇協議事項

1.人事
 新人事案が示され、これが了承された。

2.学会誌編集日程変更
 学会誌編集日程の変更とそれに伴う学会誌編集委員会運営基本要項の改訂案が示され、これが了承された。

3.2005年度決算
 2005年度の決算案が提示され、これが承認された。また、2005年度の収支決算に関して、井田洋二監査役より適正なものとして認めるとの報告がなされた。

 なお、2005年度の決算に関して、小林茂氏より以下2点の質疑が提出された。
<1>スタージュの剰余金は雑収入の項に組み込まれたのか。<2>スタージュ関係費は予備費から充当しているとのことだが、本会の活動の一つであることを示すためにも決算書で明示すべきではないか。
 これに対して、有田幹事長より、
<1>スタージュが3月末に開催され、当該年度の予算に組み込むことが不可能なため、次年度の予備費に繰り込まれる。<2>についても、スタージュが3月末に開催されるため、スタージュ関連費を決算書に反映させることは実質的に不可能。会員に対しては学会ニュースを通じて報告する、との回答がなされた。

4.2006年度予算
 配付資料の通り、2006年度予算案が示され、これが承認された。

5.2007年度春季大会開催校
 野村大会担当幹事より、2007年度春季大会を明治大学(2007年5月19-20日)に開催するとの案が示され、これが承認された。承認に引き続き、明治大学の川合高信氏の挨拶がある。

6.その他
 本会のホームページ上で公開している貸借対照表より、財産目録の詳細と欠損金処理案の二つの項目を削除することが了承された。

15:38
2006/05/21

2006年度春季大会報告

| by 広報委員会
ニュース123号(2005.7)より

総務 有田英也

 2006年度春季大会は、5月20日(土)、21日(日)の2日間にわたって、慶應義塾大学三田キャンパスにて開催された。校舎のある丘から見上げると、すでに初夏の空が広がっていた。大会参加者総数は609名。昨今の会員数減を吹き飛ばすような盛会であった。

 大会初日は、午前に各種委員会と研究会が開かれた。午後早くから幹事会、役員会が開催されたのに引き続いて、西校舎517教室にて、川口順二氏(慶應義塾大学)の司会のもと定刻に開会式が始まった。大会実行委員長を務める鷲見洋一氏(慶應義塾大学)が開会の辞を述べた後、開催校代表として文学部長の関場武教授から歓迎のご挨拶をいただいた。関場教授の鷲見氏へのエールに、すがすがしい校風を感じたものである。続いて塩川徹也会長が、フランス文学研究およびフランス語教育の現状打開を強く訴えられた。

 その後、同じ階段教室で、柏木隆雄氏(大阪大学)の司会のもと、フランス政府招聘の文化使節Eric Bordas氏(パリ第3大学)の≪Balzac : question du style≫と題した特別講演が行われた。日本のバルザック研究者を鼓舞する口ぶりにお人柄がうかがえるとともに、バルザック受容を時系列に沿って丁寧に論じる姿に感銘を受けた。若い会員たちは、この20年で文体研究が根底的に変わったという示唆をどのように受け止めたのだろうか。特別講演の準備にたずさわった皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。

 講演と質疑応答の余韻も覚めやらぬうちに、開場の随所で7つのワークショップが開催された(別掲記事参照)。すでに4回目となるこの企画は、すっかり定着した観がある。そのすべてに参加するには、Bordas氏の講演の言葉ではないが「主体の破砕」が必要なので、失礼をかえりみず途中参加させていただいた3つのショップについて書かせていただくことをお許し願いたい。東館のセミナー室では、港区小中高生フランス文学読書感想文コンクールの授賞式と感想文朗読が行われた。会場には幼稚舎の親御さんもお出でになっており、フランス大使賞および慶應義塾大学文学部長賞を射止めた二人の中学生の朗読に一同が聞き入った。地域、大学、そしてフランス大使館が協同する貴重な試みを、これからもなんらかの形で続けられたらと願う。とまれ関係各位のご尽力に感謝申し上げます。本会会員でもある日本カナダ学会の小畑精和氏(明治大学)がコーディネーターを務めた「ケベックの文化状況」では、文化創造に手間と資金を惜しまなかったフランス語圏の一拠点について、地域文化論的アプローチが試みられた。「文学会」と呼ばれることもある日本フランス語フランス文学会で、このような超域的なショップが持たれた意義は大きい。そして、Le FLE au Japonである。会場での配布資料にあるTable rondeという言葉から、この会をワークショップというより討論会にしようという意気込みがうかがえた。途中から3人の発表だけを聞かせていただいたが、「共通参照レベル」についての発表で、教員みずからが学生のパフォーマンスをビデオ録画して披露してくださったのが印象的だった。映像から習得度をどう評価してゆくかのプロセスもお話いただけたらよかったが、やはり時間が押したようである。関西大学の語学改革を、年度順に、とても明快に説明していただいた発表では、なるほどシステムの変化についての知識と見通しを、このようにしてfrancophone教員と共有するのかと感心した。あまりの盛況のため、また熱心に討論がなされたために、大幅に時間オーバーとなった。

 懇親会は、東館8階のホールにて催された。宇佐美斉副会長が、すでに定番となった「副会長の仕事は乾杯の挨拶をすること」というひと言で会場を和ませた後、一同、シャンパングラスを掲げて乾杯。開催校の粋なはからいに感謝申し上げます。荻野アンナ氏(慶應義塾大学)の軽妙な司会のもと、フランス大使館文化部のJean-François Rochard氏の挨拶も交えて、167名の参加者が交歓の時を過ごした。読書感想文コンクール受賞者の姿も見られた。

 2日目には、午前と午後に分かれて15の分科会が設けられ、38名の会員が研究発表を行った。パワーポイントを使う発表が、他の学会と同様、増える傾向にあり、発表者、開催校ともにご苦労があったと推測される。今回から学会誌編集が新しい制度に移行する。本会の存在意義とも言える研究発表の量と質が、これからも保たれるよう切望する。

 その後、午後2時15分から、西校舎517教室で、佐野泰雄氏(一橋大学)を議長に総会が始まった。喜ばしいことに本会は日本学術振興会から刊行補助金を受給することになったが、受給条件を満たすため編集スケジュールを変更しなくてはならない。こうした議題をみごとに捌いて議事を進めてくれた佐野議長のおかげで、予定時刻の午後3時45分より少し前に、すべての議事はつつがなく終了した。

 総会終了後、ただちに閉会式に移った。塩川会長が開催校と関係者に謝辞を述べたのに続いて、慶應義塾大学の小倉孝誠氏による閉会の辞をもって、本大会はその幕を閉じた。

15:37
2006/05/20

(7)詩と映像と音楽の融合--Fusion de poème, d'image et de musique

| by 広報委員会
2006年度春季大会 ワークショップ(7)

詩と映像と音楽の融合 Fusion de poème, d'image et de musique

プレゼンテーター     小潟昭夫(慶應義塾大学)

 慶應義塾のグローバルセキュリティ研究所の実験室でもあるこの会場は、200インチの大画面が正面と右手に2つ設置されていて、しかも上下2フロアー分の空間を使ったホールで、中二階からも視聴できる。前半の二つは、デカルコマニー幻想曲、ヴィクトル・ユゴーのデッサンで、映像に音楽をシンクロさせる試みを行い、三つ目にユゴーの詩「魔神」の朗読(パトリック・レボラール・南山大学)のさなかに、映像と音楽をミキシングした壮大な交響詩を披露した。特に、「魔神」では、シンセサイザーによる電子音楽を背景に、和太鼓が次第にエスカレーションして、雷の爆発音と、ユゴーの龍のデッサンがはじける。そしてヘンデルのサラバンドへ目くるめく会場を最高潮に導く。 静止画のデッサンが、CG効果により、動き出す(波や雨や怪物の目や羽等)様に、古典の作品が若い学生たちのコンピュータ操作で新たな作品として甦る瞬間であった。映像の中での訳詩は、辻昶・稲垣直樹訳をテロップで流させていただいた。後半は、パリ在住のピアニスト増永玲未とのコラボレーションで、ドビュッシーの前奏曲「音と香りは夕べの大気に漂う」では、ボードレールの詩をテロップで流し、メシアン「ダイシャクシギ」では、エマニュエル・ボダン(慶應義塾大学)の朗読のあと、ジャン=イヴ・クソーの映像とピアノのシンクロ、ドビュッシー「西風が見たもの」では映像をシンクロさせ、ラヴェル「オンディーヌ」ではベルトランの詩をボダンさんが朗読し、最後に、ワットーの「シテール等への船出」とクープランの「キテラ島の鐘」をシンクロさせ、ドビュッシーの「喜びの島」のピアノ演奏で終わるというもので、昨年の夏に行われたライブ「映画と音楽」とこの4月に日吉で行われた「春の音連れー表象として・フランス流花鳥風月」でのコラボレーションをDVDで紹介させていただいた。やはりライブ演奏の臨場感にはかなわないが、アンビアンスとしての詩と映像と音楽の融合と考えている。
16:41
2006/05/20

(6)旅とエクリチュール

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2006年度春季大会 ワークショップ(6)

旅とエクリチュール
Co.
パネリスト

 水野 尚(神戸海星女子学院大学)
 増田真(京都大学)
 和田章男(大阪大学)




「旅とエクリチュール」と題した私たちのワークショップでは、recit de voyageを、真実(dire vrai)でありながら読んで楽しいrecitであり、17世紀半ばに成立した文芸ジャンルとして提示し、18世紀から20世紀における変遷をたどった。まず最初に増田は、18世紀を通して旅行文学が他の分野にも思想的に多大な影響を及ぼしながら、探検記的な科学的旅行記とより文学的な旅行記が分かれていく過程を明らかにした。水野はロマン主義時代の旅行記が「私」の印象記的になり、書かれている内容の信憑性が外的世界との対応以上に語りの様式に依存することに焦点を当てた。最後に和田が20世紀の特色として、旅を記述することは未知なる現実のレフェランスを志向するのではなく、未知なる自己の発見を志向するようになったことを明らかにしながら、最初に定義したジャンルとしての旅行記は終焉を迎えたのではないかという仮説を提示した。

会場は座りきれないほど盛況であり、3名の報告の後、活発な議論が行われ、バルザック、スタンダール、フローベール、ジュール・ヴェルヌ、ユイスマンス、ジッド、ロラン・バルト等に関する情報が提供された。また、21世紀において旅行記は終焉を迎えたというよりも、むしろこれまで以上に活況を呈しているのではないかという説も提示され、ジャンルとしての旅行記の定義によっては別の角度からのアプローチも可能であることが示された。また、シラノやガリヴァー等のような架空の旅行記ではなく、実際の旅行に基づくrecit de voyageに限定した議論の中でも、現実を参照するエクリチュール(ecriture referentielle)に対する疑義が出され、文学と現実の関係の複雑さにも議論が及んだ。ちなみに、ワークショップのコーディネーターの役割は、一緒にカラオケに行ってみんなで歌おうと言いながら一旦マイクを握るとなかなか離さないという状況に陥らず、約束通りみんながそれぞれ歌うことのできる場を作り出すことにあると考えて臨みました。実際にみなさんに歌っていただけたかどうかは、会場に足を運んでくださった方々の判断に委ねたいと思います。 
16:40
2006/05/20

(5)ケベックの文学状況

| by 広報委員会
2006年度春季大会 ワークショップ(5)

ケベックの文学状況
Co.
パネリスト


 小畑精和(明治大学)
 寺家村博(拓殖大学)
 藤井慎太郎(早稲田大学)
 ジャン・クラヴェ(ケベック州政府在日事務所代表)


   



 北米大陸という強大な英語圏で、経済のグローバル化と文化の固有性を謳うケベックは現在注目の地域である。そこで、文学はいかなる状況にあるのか、いくつかの角度から迫ってみた。ケベック社会は、1960年代の「静かな革命」と呼ばれる急速な改革期以後、カトリック教会の説く精神論から解き放たれ、現実的な政治的・経済的・文化的自立を遂げていく。一方で、移民の出身地が多様化し、女性が社会進出を果たし、少子化が進み、社会も大いに変化してきた。

 このワークショップでは、まず、寺家村博・拓殖大学助教授が、「フランス語憲章」(101号法)を中心に言語政策について丁寧に報告し、カナダの他地域や世界のフランス語圏フランコフォンとの連帯などにおいて、ケベックが果たしている重要な役割にも言及した。次に、藤井慎太郎・早稲田大学助教授がケベックを表象するものとして舞台芸術について発表した。現在、ミシェル・トランブレーらの演劇と並んで、言語に頼らない様々なパフォーマンスがケベックでは盛んである。それをアイデンティティの問題や文化政策とからめて論じた報告は興味深いものであった。

 続いて、ケベック州政府在日事務所代表のジャン・クラヴェ氏に、作家や芸術家の保護はもちろん、受容の促進、国際化への援助など、文化政策の概要を説明していただいた。文化担当官に代わって自ら学会に来て報告いただいた氏にあらためて感謝したい。最後に、ケベック文学の変遷を明治大学教授小畑精和が報告した。そして、「静かな革命」期においてはアイデンティティ探求が主要なテーマであったが、80年代以後演劇同様小説も「アイデンティティの確認ではなく、複数の疑問を培うエクリチュールの交差点 」となっていると締めくくった。

 このワーク・ショップを通して、少しでも多くの仏文学会員にケベックへの関心を高めていただければ幸いである。
16:33
2006/05/20

(4)人類学的思考とモダニティ

| by 広報委員会
2006年度春季大会 ワークショップ(4)

人類学的思考とモダニティ
Co.
パネリスト


 千葉文夫(早稲田大学)
 竹内信夫(東京大学)
 真島一郎(東京外国語大学)
 鈴木雅雄(早稲田大学)






  1941年2月、ブルトンとレヴィ・ストロースが旅の途中で出会う挿話を出発点として、人類学的思考が文学・芸術とどう関係するかを探ろうとするワークショップ。マラルメ研究のほかにレヴィ=ストロースの翻訳に取り組んできた竹内さん、シュルレアリスムと人類学の交錯を扱う論集『文化解体の想像力』の編者である真島さんと鈴木さんをパネリストに迎えた。

 鈴木さんは、「結びつける」操作という点からブルトンとレヴィ=ストロースを対比的にとらえてみせた。後者がメタフォリックな関係を排除するのに対して、前者はアナロジーの原理によって、距離化をはかりながらも結びつけようとするという指摘があり、両者の身振りの違いが浮き彫りにされた。船上でのブルトンの姿を映す写真にはじまるスライド上映が平行してなされた。

 真島さんはこの機会にシュルレアリスムなど20世紀の運動体の性格をどのように捉え直すかという点について考えたいと述べられ、オペラあるいはシャリヴァリをめぐってレヴィ=ストロース、レリス、トムソンのあいだにどのような姿勢の違いがあるかに言及、さらにデュルケムからモースへ継承されるフランス民族学の流れには日本語には訳しにくい「モラル」をめぐる思考が関係しているという指摘がなされた。

 竹内さんは、翻訳の仕事も含めて、これまでレヴィ=ストロースに付き合ってきたのは、むしろ作家的側面への興味によるものであり、とくに「野生の思考」、「感覚的なもの論理」、「種間倫理」をめぐる発言に共感を抱いていると語られた。

 司会者よりスライド上映をもとに、今日ルーヴル美術館の一角には、かつてレヴィ=ストロースやブルトンが所有していたオブジェが展示されているという紹介がなされたあと、質疑応答に入り、会場からは、人類学研究とフランス文学研究の関係、「人類学的思考」の意味、「野生の思考」と「栽培された思考」の対比をめぐって次々と質問が出され、活発な議論が繰り広げられた。
16:30
2006/05/20

(3)「どっきり」のフランス語--オノマトペ、間投詞、感嘆文

| by 広報委員会
2006年度春季大会 ワークショップ(3)

「どっきり」のフランス語―オノマトペ、間投詞、感嘆文―
   
Co.
パネリスト


 泉 邦寿(上智大学)
 青木三郎(筑波大学)
 川口順二(慶應義塾大学)
 フランス・ドルヌ(青山学院大学)





 実際の言語使用を少し観察してみれば、感覚や感情を直接に表す表現がたくさんあり、母語による日常の自然な言語活動では重要な部分を占めていることがわかる。そこが習い覚えた言語、整理された言語と異なるところである。日本語なら「ドッキリ」「ポカポカ」、「ホカホカ」、「やったあ」、「おお寒っ」とか、「アッ」、「キャアッ」などがそれだが、長い間研究に値しないとか、マージナルな現象だとか言われて、無視されることが多かった。

 ワークショップでは、このようなオノマトペ、間投詞表現、感嘆表現を取り上げた。会場では、実際の音を聞いてもらったり、マンガ、絵本などを投映して問いかけをしたり、それに対する回答を紙に記入してもらってそれを材料にするなどして、この分野をどのように研究していくべきなのか、またその問題点は何かを参会者と共に考え、議論した。具体的にはオノマトペの日仏語の相違、間投詞AhとOhがいかに異なるか、間投詞なのか感嘆文なのかの区別はなにか、それは日本語とフランス語で異なってくるか、などが話題となり、翻訳の問題も議論された。

 オノマトペ、間投詞、感嘆文は、ことば以前の直接的な表明であるうめきや叫びと、語彙化・概念化されたふつうの言語の中間的存在であることでは共通しているが、それらの間ではっきりと区別できないものも多い。また、そこでは概念化がある程度なされているのか、なされていないのか、なされていればどのようになのかなど、理論的にも多くの問題を投げかけることになったが、バラエティに富んだ、楽しく、奥の深い言語現象を多くの参会者と共に共有し、語り合うことができた。参会者は約80名であった。
16:27
2006/05/20

港区小中高生フランス文学読書コンクール表彰式

| by 広報委員会
2006年度春季大会 ワークショップ(2)

港区小中高生フランス文学読書感想文コンクール
司会     鷲見洋一(慶應義塾大学)

 本大会では、開催校の新しい発案で、慶應義塾大学三田キャンパスがある東京都港区の小中高校生徒を対象に、フランス文学の翻訳書についての読書感想文コンクールを実施した。慶應義塾大学文学部・日本フランス語フランス文学会2006年度春季大会実行委員会が共催で、在日フランス大使館文化部・日本フランス語フランス文学会から後援を頂いた。準備期間が短く、チラシの発送から締切までがそれほど間がなかったこともあり、応募は数十点に留まったが、それでも嬉しい収穫はあった。港区立青山中学校3年生の女生徒二人が、それぞれフランス現代小説について素晴らしい文章を寄せてくれ、それがめでたく受賞と決まったのである。

 フランス大使賞は、庄司あおいさんで、フィリップ・クローデル『リンさんの小さな子』(高橋啓訳、みすず書房)に関する感想文、慶應義塾大学文学部長賞は徳野安樹さんで、 フィリップ・グランベール『ある秘密』(野崎歓訳、新潮社)を論じたもの。両作品とも2005年刊行の翻訳だが、いずれも戦争を背景にまぶした、奥行きのある優れた小説である。庄司さん、徳野さんは、中学生とは思えないいずれ劣らぬ深い洞察と感性の閃きを見せる作文で、審査員一同を驚嘆させた。

 小学生、高校生からの応募には、庄司さん、徳野さんの作文に匹敵するレベルのものが見あたらず、残念ながら該当作なしとなった。それぐらい、お二人の文章力が卓越していたということであろう。

 5月20日(土)、大会初日15時半から、慶應義塾大学三田キャンパスで授賞式があり、庄司さんには在日フランス大使館文化部の文化担当官ジャン=フランソワ・ロシャール氏から、徳野さんには慶應義塾大学文学部長関場武氏から、それぞれ賞状と記念品が手渡された。その後、お二人による感想文の朗読があり、関場武氏による講評をもって、締めくくりとなった。朗読を聞いた多くの関係者から、期せずして絶賛の声があがったことをお伝えしたい。

 こうした試みは、戦後の数十年にわたる日本フランス語フランス文学会全国大会の歴史でも初めての新機軸であり、フランス大使館のロシャール氏からも、来年度以後続行して欲しいという強い要望があったことを記しておく。

  

16:24
2006/05/20

(2)箱庭の中のフランス文学

| by 広報委員会
2006年度春季大会 ワークショップ(2)

箱庭の中のフランス文学

    Co. 鷲見洋一(慶應義塾大学)

 「港区小中校生フランス文学読書感想文コンクール」受賞者の表彰式と朗読の後、箱庭ゲームが開催された。子供から大人までの広い年齢層を対象したかったので、参加者を学会関係者に限定せず、この部屋だけは大会費免除の一般公開とした。コーディネーターの他に、慶應義塾大学の巨大科研費プロジェクトDMCで創造的な仕事をしている坂倉恭介氏、篠田大基氏、平松啓央氏、慶應義塾大学仏文修士の大島ゆい君と岡田彩香君という、5名の若い協力者が大活躍で、何度も打ち合わせやシミュレーションを重ね、本番に臨んだ。選ばれた素材は、シャルル・ペロー「長靴をはいた猫」。心理療法でおなじみの箱庭と、さまざまなミニチュアの人形や小道具を自由に使って、物語の進行に従い、参加者がリレー式で、箱庭に敷き詰めた砂の上にデザインを施していく趣向である。全員が箱庭の中の様子を見逃さないように、デジタル・ヴィデオカメラですべてが巨大モニターに映し出され、部屋のどこにいても見落としがないように配慮された。

 立ち見も出るほどの盛況で、狙い通り参加者の年齢の幅は広く、小学生4名(慶應義塾幼稚舎の3年生男子2名に5年生女子2名)、中学生女子2名(読書感想文コンクール受賞者)とそれぞれの同伴者、慶應義塾大学の学生数名に仏文学会員多数、さらに一般参加者という多様な構成だった。

 数名ずつの参加者を募り、指示を記した紙を手渡して、次々にリレー式で物語を紡いで貰ったが、途中から全員が順番に当たり始めた。初めこそはノリが悪かったが、基本的には、皆が見ているだけでは不足で、輪に入って遊びたいという欲求を抱いている事実が確認された。全36景から成る物語のシークエンスを、全員がくまなく担当するのは無理だったが、ほぼ1時間でゲームは完了。残った30分は、原作の巻末に書き付けられた二つの「教訓」の解釈をめぐって、即席の質疑があり、まさにこの作品を修論のテーマにしている岡田彩香君を中心に、居合わせた学会員の先生方との間に有益な情報の交換があった。これ一回限りで終わりにするには惜しい企画だと思う。

 箱庭に群がる子猫たち。
  ネコの2つの教訓



教訓:
父から子へうけつがれる遺産を当てにするのも良いけれど、若い人たちにとっては知恵があったち世渡り上手であることの方が、ずっと良いのです。

もう一つの教訓:
貧しい若者が、とんとん拍子でお姫様に好かれて結婚できたのも、服や顔や若さのおかげだから。なかなかどうして、馬鹿にはできないものです。




ゴム長をはいた猫。

16:17
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